子供が健診で心臓の検査でひっかかった
子供が健診で心臓の検査でひっかかった
皆さん,こんにちは.YMC medicom です.
先日,ママさんが子供を連れて来院されました.子供が小学校の健診で心電図と心雑音でひっかかったとのことでした.
とても不安そうなママが見せてくれた健診結果には「心雑音」と「完全右脚ブロック」と記載がありました.
「心雑音」はその言葉のとおり,心臓の音に普通では聞こえない「雑音」が混ざることです.
「完全右脚ブロック」とは右心室(心臓には左心室と右心室の2つがある)への心臓内の電気の流れが悪くなった状態のことです.(難しくてすみませ….)
右脚ブロックは年齢を重ねるとその頻度は増え,大人の健診で見つかったとしても精査の対象になることはほとんどありません.
しかし,子供の場合は少し注意が必要です.というのも,子供の右脚ブロックには,背景に生まれつきの心臓病を抱えている可能性があるからです.
特に今回の症例では,心雑音も認めており,さらに注意が必要です.
実際,心臓の音を聞いてみると,確かにわずかに雑音がありました.
そこで,精密検査のために心臓エコーを行ってみたら,なんと,「心房中隔欠損症 (ASD)」が見つかったのです.
「ASD」とは右心房と左心房の間の壁に穴があいた状態のことです.本来,その穴は,お母さんのお腹に居るときに閉じるものなのですが,一定の割合でその壁があいたまま生まれてくる子供がいます.
小さい頃は特に症状もなく普通に暮らせていけることが多いですが,30〜40歳くらいから,徐々に息苦しさや不整脈などが出てきたりします.
手術のタイミングもとても大切なので,ASDを指摘された患者さんの多くは年に1回程度の心エコーを行っていくことが多いです.
もしも,見逃されていたら,知らない間に病状が進行してしまう可能性があります.実際,症状が出てから発見されるケースも多いのです.
そしてなにより,ASDは心エコーで診断するのが結構難しいのです.やはり,専門医による心エコー判読が必須ということですね.
クリニックや病院の先生方,健診センターの方々で,専門医がおらず,心エコー判読でお困りの場合は,どうぞお気軽にYMC medicom にご相談ください.
何かのお力になれれば幸いです.