動悸があるのに診断がつかない60代・男性
動悸があるのに診断がつかない60代・男性
皆さん,こんにちは! YMC medicom です.
今回は,深刻な顔で私の外来に相談にみえた,60代・男性のお話です.
その内容はタイトルにもあるように,「動悸があるのにどれだけ検査しても原因がわからない」というものでした.
早速,診察をしてみましたが,心臓に雑音はなくリズムも整っており,一見異常はなさそうです.
心電図を取りましたが,洞調律で不整脈もなく正常範囲でした.
お話をお伺いすると,他院で心臓の精査はされており何回かホルター心電図検査も受けたけど,明らかな異常所見はないということで経過観察となったそうです.
動悸は何の前触れもなく突然始まり,突然治まるとのことでした.そして,いつどのような状況で起こるのか,特定の時間や動作などもわからず,不安で困っているとのことでした.
ホルター心電図も5回やったけど,異常なし.動悸のときに自宅の血圧計で測ると心拍数が 140拍/分 もあるとのことで明らかにおかしいのだそう.その時の心臓のリズムはなんだかバラバラな気がする,ともおっしゃっていました.
困ったな…症状聞く限りでは「心房細動(←クリック!)」なのだが…確定診断がついていないから治療に踏み切れない…(汗)
そんな時,心電計という “手” を思いつきました.心電計とは一般の方でも購入可能な,携帯型の簡易心電図計のことです.
ホルター心電図は1回検査するとおおよそ5,000円程度(3割負担換算)かかります.すでに,この患者さんは5回も受けているので,すでに25,000円も支払っていることになります.
今後も同じようにホルター心電図を受けたところで,確定診断につながるとは限りません.
それならいっそのこと,心電計を自分で買った方がいいんじゃないかと考え,勧めてみたところ,患者さんは即購入を決心しました.
家電量販店ではあまり見かけないのですが,Amazon や 楽天 で探したところ,たくさんの種類の心電計がありました.
一番シンプルで,スマホにも情報が飛ばせそうな,↓↓↓↓のを購入されました.
後日,患者さんが動悸の時に記録した心電計の結果をスマホで見せてくれました.
2誘導のみの記録でしたが,明らかに脈は不整で心房波も認めず,晴れて「心房細動」と診断できました.
この患者さんはまだ60代と若かったため,カテーテルアブレーション(不整脈の根治手術のこと)を勧めました.
手術後も自宅や屋外で携帯心電計を持ち歩いて,動悸がした時には適宜使用しているようです.
みなさんの周りにも,動悸があるけど診断に至らず困っている患者さんがいらっしゃいましたら,心電計という手もご一考下さい.
また,もしその心電計の所見で,わからないなどお困りの際は,どうぞお気軽に私ども YMC medicom にご相談ください.
何かのお力になれるかもしれません.よろしくお願い致します.